【田島一成議員平成28年の質問:北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する質問主意書 質問と答弁】

平成二十八年三月十五日提出
質問第一九一号

北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する質問主意書

提出者  田島一成


北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する質問主意書

 与党において、昨年八月より北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会を設置し、敦賀以西ルートについて検討が進められ、平成二十八年三月十日に開催された同委員会にて、敦賀から米原に至る、いわゆる「米原ルート」、敦賀から小浜、京都を経由し大阪に至る、いわゆる「小浜・京都ルート」、敦賀から小浜、舞鶴、京都を経由し大阪に至る、いわゆる「舞鶴ルート」の三案により、国土交通省において詳細調査を実施する方針が確認された。
 今後、国土交通省で、各ルート案の詳細調査を経て定量的に比較検討が行われるが、「米原ルート」は関西方面に加え、中京・首都圏に向かっての旅客流動もカバーできる唯一のルートであることから利用者便益に優れるルートであり、建設距離が最短であると見込まれることから建設コストや整備期間の点等から勘案し経済合理性で優れているルートであると考える。
 一方、この「米原ルート」については、敦賀から米原間は西日本旅客鉄道株式会社、米原から東海道新幹線区間については東海旅客鉄道株式会社がそれぞれ運営するため、現行の関西・北陸間を結ぶ在来線特急「サンダーバード」の収益が、新幹線開業によって、西日本旅客鉄道株式会社から東海旅客鉄道株式会社へ移行することとなる。
 また、「小浜・京都ルート」や「舞鶴ルート」においては、京都から大阪間を東海道新幹線と平行して整備新幹線を建設することにより、逆に東海旅客鉄道の収益が西日本旅客鉄道へ移行することとなる。
 北陸新幹線を国民の効用を最大化するルートで早く大阪まで整備するためには、両社間の収益の調整手法を早急に検討する必要がある。
 この調整に必要な手段として、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構へ運行主体が支払う新幹線鉄道施設の貸付料(以下、「貸付料」という。)が考えられる。
 従って、次の事項について質問する。
一 貸付料の見直しについて
 各整備新幹線に係る貸付料(東北新幹線盛岡・八戸、八戸・新青森間、北陸新幹線高崎・長野間、九州新幹線博多・新八代、新八代・鹿児島中央間)を国土交通大臣が認可した際の各区間の貸付料及び収支見込み並びに実績を示されたい。
二 貸付料に係る契約について
 平成二十七年十二月二十二日付けで運輸審議会会長より国土交通大臣に提出された答申書(北海道旅客鉄道株式会社からの鉄道の特別急行料金の上限設定認可申請について)において根本敏則委員の反対意見の詳細(以下、「反対意見」という。)として「貸付料は大きな経済環境条件の変化があれば変更することができることとなっている。」と記載されているが、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構とJR各社の間で締結した新幹線貸付料に係る契約書上に、どのような場合に貸付料の見直しができるとされているのか、該当条項の条文を示されたい。
三 根元受益の精査について
 「整備新幹線の取扱いについて」(平成十六年十二月十六日付け政府・与党申合せ)にて「北海道新幹線(新青森~新函館)、北陸新幹線(上越~金沢)などが整備されることに伴い生じる根元受益に関するJRの負担額については、これらの区間の開業時に精査する。」とされているが、例示として挙げられている北海道新幹線(新青森~新函館)、北陸新幹線(上越~金沢)の根元受益とは、具体的にどの整備新幹線区間に係る根元受益を指すのか示されたい。
四 北海道新幹線の貸付料について
 三に関連して、「反対意見」において「整備新幹線として開業している盛岡~八戸間の貸付料は、青森までの延伸、さらに今回の函館までの延伸という大きな経済環境条件の変化がありながら、一度も見直されていない。延伸がもたらす「根元効果」により、東日本旅客鉄道株式会社に数十億を超える受益が生じているのではないだろうか。貸付料の見直しが急務である。」とされている。三月二十六日に開業が予定されている北海道新幹線(新青森~新函館)の貸付料及び当該区間に係る根元受益の議論の経緯及び精査状況について、実施の有無を含めその状況を示されたい。
五 整備新幹線建設費への北海道新幹線貸付料充当について
 平成二十七年十二月二十二日付けで運輸審議会会長より国土交通大臣に提出された答申書(北海道旅客鉄道株式会社からの鉄道の特別急行料金の上限設定認可申請について)の理由2(1)において北海道新幹線の新青森駅~新函館北斗駅の区間に係る貸付料が九億円とされているが、平成二十四年度に北海道、北陸、九州の各整備新幹線を着工した際、着工五条件の一つ「安定的な財源の確保」を満たすため充当した当該区間の貸付料の額を示されたい。
六 貸付料の算定について
 「小浜・京都ルート」及び「舞鶴ルート」では京都・大阪間を東海道新幹線とは別線で整備することとなる。このため整備新幹線の営業に伴い、東海旅客鉄道株式会社が運行する東海道新幹線からの旅客転移が見込まれるが、その際の東海旅客鉄道株式会社の逸失利益の取扱いについて、北陸新幹線を早く大阪まで整備するため、早急に検討を実施する必要があるが、その検討状況について示されたい。

 右質問する。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a190191.htm


平成二十八年三月二十九日受領
答弁第一九一号

  内閣衆質一九〇第一九一号
  平成二十八年三月二十九日

内閣総理大臣 安倍晋三
       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員田島一成君提出北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


衆議院議員田島一成君提出北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「収支見込み並びに実績」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねは、整備新幹線の各区間に係る鉄道施設の毎事業年度の貸付料の額のうち、その後の整備新幹線の建設に関する工事に要する費用に充てられることとなる額についてであると思われるところ、当該額である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(平成十五年政令第二百九十三号。以下「機構法施行令」という。)第六条第一項第一号に掲げる額は、それぞれ、東北新幹線(盛岡・八戸間)については七十九億三千万円、東北新幹線(八戸・新青森間)については七十億円、北陸新幹線(高崎・長野間)については百七十五億円、九州新幹線(博多・新八代間)については八十一億六千万円、九州新幹線(新八代・鹿児島中央間)については二十億四千万円である。
二について

 お尋ねについては、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。)によれば、機構と北海道旅客鉄道株式会社(以下「JR北海道」という。)との間で締結している北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)の鉄道施設の貸付け及び貸付け後の鉄道施設の管理等に関する協定書第十三条第三項、機構と東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。)との間で締結している東北新幹線(八戸・新青森間)の鉄道施設の貸付け及び貸付け後の鉄道施設の管理等に関する協定に関する実施細則第八条、機構とJR東日本との間で締結している東北新幹線(盛岡・八戸間)の鉄道施設の貸付け及び貸付け後の鉄道施設の管理等に関する協定に関する実施細則第八条、機構とJR東日本との間で締結している北陸新幹線(長野・上越妙高間)の鉄道施設の貸付け及び貸付け後の鉄道施設の管理等に関する協定に関する実施細則第八条、機構と西日本旅客鉄道株式会社との間で締結している北陸新幹線(上越妙高・金沢間)の鉄道施設の貸付け及び貸付け後の鉄道施設の管理等に関する協定に関する実施細則第八条、機構と九州旅客鉄道株式会社(以下「JR九州」という。)との間で締結している九州新幹線(博多・新八代間)の鉄道施設の貸付け及び貸付け後の鉄道施設の管理等に関する協定書第十三条第三項及び機構とJR九州との間で締結している九州新幹線(新八代・鹿児島中央間)の鉄道施設の貸付け及び貸付け後の鉄道施設の管理等に関する協定書第十三条第三項のいずれにおいても、「定額の貸付料について、貸付料決定の際には想定し得なかった経済・社会状況の著しい変化により大幅な受益の変動が生じた場合は、定額の貸付料の変更について協議するものとする」としているとのことである。
三について

 御指摘の「根元受益」とは、全国新幹線鉄道整備法(昭和四十五年法律第七十一号)第六条第一項に規定する営業主体が新たな区間の営業を開始することにより、当該区間に接続する区間を営業する他の営業主体に生じる受益を意味するものであるが、この根元受益のうち、北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)に係るものは東北新幹線(八戸・新青森間)等の営業主体であるJR東日本に、北陸新幹線(上越妙高・金沢間)に係るものは北陸新幹線(長野・上越妙高間)等の営業主体であるJR東日本に、それぞれ生じる受益を指しているものである。
四について

 北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)に係る鉄道施設の毎事業年度の貸付料については、機構が、当該区間の営業を開始することによりJR北海道に生じる受益の程度を勘案し、JR北海道と協議した結果、機構法施行令第六条第一項第一号に掲げる額は一億千四百万円とされたところである。また、御指摘の「当該区間に係る根元受益」とは、北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)の営業を開始することにより、東北新幹線(八戸・新青森間)等の営業主体であるJR東日本に生じる受益を意味するものと思われるが、これについては、機構が、当該受益の程度を勘案し、JR東日本と協議した結果、毎事業年度においてJR東日本から支払を受ける額は二十二億円とされたところである。
五について

 御指摘の「「安定的な財源の確保」を満たすため充当した当該区間の貸付料の額」をお示しすることは、今後の貸付料に係る協議に支障を来すおそれがあることから、差し控えたい。
六について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「東海旅客鉄道株式会社の逸失利益の取扱い」については検討していない。
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b190191.htm


平成二十八年五月二十七日提出
質問第三〇二号

北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する再質問主意書

提出者  田島一成


北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する再質問主意書

 与党において、昨年八月より北陸新幹線敦賀以西ルートについて検討が進められ、平成二十八年五月二十五日に開催された与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて「中間とりまとめ」が了承され、国土交通省に対し、①小浜舞鶴京都ルート(敦賀駅-小浜市附近-京都駅-新大阪駅)、②小浜京都ルート(敦賀駅-小浜市附近-京都駅-新大阪駅)、③米原ルート(敦賀駅-米原駅)の三ルート案について、所要時分、路線延長、概算事業費、需要見込み等の将来の着工の判断に資する項目の調査を半年間程度の期間で行うよう指示がなされた。
 今秋までに、国土交通省による調査結果が出される予定だが、「米原ルート」は北陸・関西の流動に加え、中京・首都圏との流動もカバーできる唯一のルートであることから、新幹線整備に伴う移動時間の短縮という恩恵を享受できる利用者数が最も多いルートであり、建設距離が最短であると見込まれることから建設コストや整備期間の点等からも最も優れるルートであると考える。
 整備新幹線は、我が国の交通体系にあって、基幹的な高速輸送体系を形成するものであり、地域社会の振興や経済活性化に大きな効果をもたらすものである一方、地域活性化、少子高齢化、地球温暖化等諸問題への的確な対応が求められる時代において、厳しい財政の制約も考慮に入れながら、国民全体の効用最大化と経済合理性がルート選定にあたっての最優先事項と考える。
 よって、次の事項について質問する。
一 整備計画決定の経緯について
  全国新幹線鉄道整備法(昭和四十五年法律第七十一号。以下、「全幹法」という。)第七条第一項に基づき、昭和四十八年十一月十三日付けで新幹線鉄道建設に関する整備計画により北陸新幹線の主要な経過地として小浜市附近が定められた。この決定に際して、対案として当時の滋賀県米原町附近を経由し大阪市に至るルートとの比較により、小浜市附近を経由するルートに決定したと仄聞するが、その際に比較考量した各項目並びに両ルートの項目ごとの調査結果及び小浜市附近を経由するルートを選定した理由を示されたい。
二 北陸新幹線敦賀以西ルートに係る国土交通省調査について
  全幹法第四条第一項に規定される基本計画を決定しようとする場合、政令において、
  一 新幹線鉄道の輸送需要量の見通し。
  二 新幹線鉄道の整備による所要輸送時間の短縮及び輸送力の増加がもたらす経済的効果。
  三 新幹線鉄道の収支の見通し及び新幹線鉄道の整備が他の鉄道の収支に及ぼす影響。
 の三つの事項に関する調査の結果に基づかなければならないとされている。
  一方、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームが国土交通省に求める調査項目においても、需要見通しや所要時分等の基本計画の決定において調査すべき項目を再び調査することとしているが、国土交通省が改めて調査する目的を示されたい。
三 整備新幹線のルート決定を行う際の決定基準について
  中央新幹線に係る全幹法第七条第一項の規定による整備計画について、交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会中央新幹線小委員会の答申(平成二十三年五月十二日付け)を受け、平成二十三年五月二十六日に国土交通大臣が決定されている。
  この答申において、中央新幹線のルート選定に関して、伊那谷ルート及び南アルプスルートの比較考量が行われ、「仮に中央新幹線の建設主体及び営業主体としての指名を受ける意思を表明している東海旅客鉄道株式会社が両主体となった場合、財務的な事業遂行能力の観点から、建設費用が低く、なおかつ輸送需要量が大きい南アルプスルートの方が事業リスクが低く、さらには大阪開業をより早期に実現する観点からも優位となる。」とされ、赤石山脈(南アルプス)中南部を主要な経過地(南アルプスルート)とした整備計画としている。
  この答申においては、建設主体及び営業主体が民間企業であることが考慮され、建設費が低廉で輸送需要量が大きい南アルプスルートが優位であるとしているが、建設主体及び営業主体が独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構である北陸新幹線敦賀以西ルート整備についても、公共事業として国費や地方負担が投入される以上、中央新幹線のルート決定と同様に、より効果的で、効率的なルートが優先されるべきと考えるが、政府が実施する新規の新幹線鉄道プロジェクトについて評価する際の基準を示されたい。
四 乗換えによる旅客利便性の低下の回避について
  「整備新幹線の取扱いについて」(平成二十三年十二月二十六日付け政府・与党確認事項)において、北陸新幹線白山総合車両基地・敦賀間の取扱について「敦賀での乗換による旅客利便性の低下を回避することが求められるが、その対応についてJR西日本や関係地方自治体の意向を確認する。」とあり、平成二十四年一月二十五日に整備新幹線の収支採算性や投資効果の確認等に関して、国土交通大臣より交通政策審議会へ付議され、同年四月三日付けで「整備新幹線未着工区間の『収支採算性及び投資効果の確認』に関する取りまとめ」として、「北陸新幹線については、北陸と関西・中京との間で一日当たり約一万九千人の流動が予測されており、敦賀以西の整備までは敦賀駅での乗り換え利便性の向上が不可欠である。この流動に対応するには、車両編成の長い列車が多数設定されることが想定され、敦賀駅で同一ホーム乗り換えを行う場合には相当の工夫が必要となる。このため、直通運行できるフリーゲージトレインは車両費等が割高な面はあるものの乗り換え利便性の面で優れており、積極的な活用を図るべきである。また、フリーゲージトレインが導入された場合においても、敦賀駅では新快速等の在来列車や一部の特急列車との乗り換えも想定され、これらとの乗り換え利便性の確保にも十分配慮する必要がある。」とされた。
  このことから、同日付で国土交通省鉄道局が提出した「収支採算性及び投資効果に関する詳細資料」において、北陸新幹線金沢・敦賀間の需要推計、投資効果(費用便益分析)および収支採算性については、敦賀駅では新幹線と在来優等が対面乗換(ホームtoホーム乗換)のケースと、現行のサンダーバード等在来優等がフリーゲージトレインに置き換わるケースを想定して試算が行われている。
  今般、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの「中間とりまとめ」を受け、北陸新幹線の敦賀・大阪間について三ルートを候補として、国土交通省が需要見込み等の将来の着工に資する項目の調査を実施するが、米原ルートにおける米原駅について、北陸新幹線金沢・敦賀間の収支採算性及び投資効果の確認の際と同様に、先ず、乗換え抵抗を最小限に抑える努力を前提とした検討を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
五 北陸新幹線敦賀以西整備に関する財源の考え方について
  北陸新幹線白山総合車両基地・敦賀間等整備に向け収支採算性や投資効果の確認等の議論を行った第一回交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会整備新幹線小委員会(平成二十四年一月二十七日開催)において国土交通省鉄道局幹線鉄道課長が「白山総合車両基地から先から敦賀の間の、さらに先、敦賀以西の整備をどうするかということでございますが(略)いわゆる小浜・湖西・米原の三ルートということにつきましても検討はいたしました。検討はしたのですが、やはり財源の限界などもありますので課題が多いということを確認しております。」と発言している。この時に確認した「財源の限界などの課題」とは具体的には何か、国土交通省が実施した小浜・湖西・米原の三ルートの検討結果との因果関係と併せて示されたい。
六 北陸新幹線のリダンダンシー機能について
  また、同小委員会において国土交通省鉄道局幹線鉄道課長が「敦賀延伸で京阪神の鉄道ネットワークへ接続できますので、幹線交通の多重化、リダンダンシーというような議論などもありますが、そういった機能も十分果たし得るのではないかということで、まず敦賀延伸を実現するべきだろうということでございます。」と発言している。北陸圏と関西圏、中京圏の旅客流動を鑑みると幹線鉄道課長の発言通り、北陸新幹線の敦賀開業時点でリダンダンシー機能が十分果たし得るものと考えるが、敦賀開業時点での北陸新幹線が有するリダンダンシー機能について、政府の見解を示されたい。

 右質問する。
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a190302.htm


平成二十八年六月七日受領
答弁第三〇二号

  内閣衆質一九〇第三〇二号
  平成二十八年六月七日

内閣総理大臣 安倍晋三
       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員田島一成君提出北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。


衆議院議員田島一成君提出北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する再質問に対する答弁書

一について

 全国新幹線鉄道整備法(昭和四十五年法律第七十一号)第五条第一項の規定に基づき、昭和四十八年十月に、日本国有鉄道(当時)及び日本鉄道建設公団(当時)が取りまとめた北陸新幹線(東京都・大阪市間)調査報告書においては、Aルートを「福井市附近からほぼ北陸本線及び東海道本線沿いに、米原町附近を経由して大阪市に至るルート」と、Bルートを「福井市附近からほぼ北陸本線及び小浜線沿いに小浜市附近に至り、これから南下して大阪市に至るルート」とした上で、次のとおり記載されているところである。
  ア 距離及び所要時分は、Bルートの方が約三十キロメートル、十分短い。
  イ 工事費は、Bルートの方が約千五百億円少ない。
  ウ 地質は、AB両ルートとも全般的に良好で、施工上あまり問題はないが、用地確保の面からみると、Aルートの方がはるかに困難であると予想される。
  エ 北陸と近畿圏との旅客流動(約二万千人/日)は、北陸と中京圏との旅客流動(約一万千人/日)の約二倍である。したがって、旅客流動の面からは、流動の多い北陸と近畿圏を短絡できるBルートの方がよりすぐれている。また、東海道新幹線の輸送力が近い将来限界に達すると予想されるが、その対策として、暫定的には北陸新幹線を使うことも考えられる。この場合にも、距離の短いBルートが望ましい。
  オ 沿線の人口、産業活動等の規模及び将来の発展性はAルートの方が大きいが、近畿圏の中でのウエイトは小さいので、ルート選択の重要な要素にはならない。
 以上の諸項目を総合的に検討した結果、北陸新幹線福井市附近・大阪市間のルートについては、流動の多い北陸と近畿圏とを短絡し、工事費が少なく、かつ、用地確保が容易なBルートを選定した。
二について

 御指摘の調査は、平成二十八年四月二十七日に公表された与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会の中間とりまとめ(以下「中間とりまとめ」という。)を踏まえ、北陸新幹線敦賀・大阪間について、所要時分、路線延長、概算事業費、需要見込み等の具体的なルートの選定の検討を行うために必要となる項目について、分析し、及び整理することを目的としている。
三について

 整備新幹線整備事業の新規事業採択に当たっては、「国土交通省所管公共事業の新規事業採択時評価実施要領」(平成二十三年四月一日付け国官総第三百六十七号・国官技第四百二十二号国土交通事務次官通知)等に基づき、費用便益分析、地域経済効果、環境への効果又は影響、安全への効果又は影響等の項目について、総合的に評価を実施することとしている。
四について

 御指摘の「乗換え抵抗を最小限に抑える努力を前提とした検討」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、中間とりまとめを踏まえ、御指摘の三ルートについて、所要時分、路線延長、概算事業費、需要見込み等の具体的なルートの選定の検討を行うために必要となる項目についての調査を行うこととしている。
五について

 平成二十四年一月二十七日に開催された第一回交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会整備新幹線小委員会における国土交通省からの提出資料において、「未着工区間に活用可能な財源見込み」は「合計 約三兆六千三百億円」であり、「事業ペースを調整して整備する場合の総工事費」は、「北海道新幹線新函館・札幌間 一兆六千七百億円」、「北陸新幹線金沢・敦賀間 一兆千三百億円」及び「九州新幹線(長崎ルート)武雄温泉・長崎間 五千億円」であることを示しているところであるが、一方で、「公共事業関係費は、毎年度の予算編成で決定されるものではあるが、便宜上平成二十四年度以降も同水準と仮置き。ただし、公共事業関係費は縮減傾向にあり、将来的には下振れる可能性の方が高い」ことも示しているところである。これらのことを指して、同小委員会において、御指摘の発言を行ったものである。
六について

 お尋ねについては、西日本旅客鉄道株式会社の新快速列車等が京阪神都市圏と敦賀駅との間で運行されていることから、北陸新幹線金沢・敦賀間が開業することによっても、敦賀駅において新幹線とこれらの新快速列車等が接続できるという限りにおいて、幹線鉄道の多重化が確保されると考えられる。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b190302.htm


平成二十八年八月一日提出
質問第一三号

北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する質問主意書

提出者  田島一成


北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する質問主意書

 北陸新幹線敦賀以西ルートについて、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの「中間とりまとめ」として絞り込まれた、①小浜舞鶴京都ルート(敦賀駅-小浜市附近-舞鶴市附近-京都駅-新大阪駅)、②小浜京都ルート(敦賀駅-小浜市附近-京都駅-新大阪駅)、③米原ルート(敦賀駅-米原駅)の三ルート案について、国土交通省が着工の判断に資する項目の調査を実施しており、その結果が今秋までに報告されることとなっている。
 北陸新幹線敦賀以西の整備に当たっては、厳しい財政の制約も考慮に入れながら、従来の二十世紀型公共事業の延長線にある国土強靱化ではなく、自然と共生し、スリムでしなやかな国土を形成する、二十一世紀型社会資本整備を念頭にルートを検討する必要があり、国民全体の効用と経済合理性に優れる「米原ルート」が最適と考える。
 よって、「前回答弁書」(内閣衆質一九〇第三〇二号)、「前々回答弁書」(内閣衆質一九〇第一九一号)を踏まえ、質問する。
一 北陸新幹線敦賀・大阪間の完成時期について
 平成二十三年十二月二十六日付け「整備新幹線の取扱いについて」(政府・与党確認事項)において、整備新幹線の着工にあたっては、整備期間を通じた安定的な財源見通しの確保が必要なことから、北陸新幹線敦賀以西の整備については、「財源の限界等から新たな三区間に係る事業が完了するまでの間の整備は難しい」とされており、現在、建設が行われている整備新幹線三区間のうち、最も時日を要する北海道新幹線札幌延伸は平成四十二年度末の完了・開業とされている。
 一方、国土交通省においては、与党が絞り込んだ北陸新幹線敦賀・大阪間の三ルート案について、この秋を目途として、将来の着工の判断に資するための調査を実施しているところであるが、東海旅客鉄道株式会社がリニア中央新幹線東京・名古屋間の平成三十九年開業に向け建設工事を進めるとともに、政府においては大阪延伸の前倒し議論を始めているなど、北陸新幹線敦賀・大阪間の着工・完成時期をどのように想定するかで、国土交通省が実施している調査の前提が大きく異なってくるものと思料される。調査を実施するうえで必要な前提でもある、北陸新幹線敦賀・大阪間整備の完成時期について、政府の見解を示されたい。
二 社会資本の純現在価値について
 社会資本は、費用や便益の発現が長期にわたるため、発現時期の異なる費用や便益を適切に評価する必要が有る。このため「国土交通省所管公共事業の新規事業採択時評価実施要領」に基づく「鉄道プロジェクトの評価手法マニュアル(二〇一二年改訂版)」では、社会的割引率を用いて、異なる発現時期の費用や便益を現在価値に割り戻して合計し、費用便益分析の評価指標を算出することとされている。
 この社会的割引率は「公共事業評価の費用便益分析に関する技術指針」(平成二十一年六月国土交通省)で四%とされ、費用や便益の計算対象期間は、建設期間に供用開始から耐用年数を勘案した五十年を加えた年数の各年の現在価値の合計としている。
 このことから建設期間が長いほど、現在価値に割り戻した総便益及び総費用は小さな値となるが、特に便益は、供用開始によって初めて生じることから、建設期間の長短により、その値が大きく上下する。社会的割引率四%で建設に十年要した場合、供用開始初年度の便益は割り戻す前の約六十七%であるが、建設に二十年要した場合には約四十五%まで小さくなる。
 このように建設期間の設定は、費用便益分析の結果を大きく左右するものと思料され、調査を実施するうえで必要な前提でもある、北陸新幹線敦賀・大阪間整備についての建設期間について、政府の見解を示されたい。
三 社会資本整備の意義について
 前回の質問で新規の新幹線鉄道プロジェクトについて評価する際の基準を問うたところ、「整備新幹線整備事業の新規事業採択に当たっては、『国土交通省所管公共事業の新規事業採択時評価実施要領』(平成二十三年四月一日付け国官総第三百六十七号・国官技第四百二十二号国土交通事務次官通知)等に基づき、費用便益分析、地域経済効果、環境への効果又は影響、安全への効果又は影響等の項目について、総合的に評価を実施することとしている。」とする答弁がなされている。
 この「国土交通省所管公共事業の新規事業採択時評価実施要領」では、「公共事業の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を図るため、新規事業採択時評価を実施する。」とあるが、ここでいう「公共事業の効率性」とは何か、政府の見解を示されたい。
四 リダンダンシー機能と公共事業の効率性の比較考量について
 前回質問主意書で、「敦賀開業時点での北陸新幹線が有するリダンダンシー機能について、政府の見解を示されたい。」と問うたところ、「前回答弁書」(内閣衆質一九〇第三〇二号)では、「西日本旅客鉄道株式会社の新快速列車等が京阪神都市圏と敦賀駅との間で運行されていることから、北陸新幹線金沢・敦賀間が開業することによっても、敦賀駅において新幹線とこれらの新快速列車等が接続できるという限りにおいて、幹線鉄道の多重化が確保されると考えられる。」とする答弁をなされている。
 この答弁から、北陸新幹線敦賀以西の整備について、既に確保されている幹線鉄道の多重化(リダンダンシー)をルート検討の指標にすることは、公共事業の効率性の観点から必要性に乏しいものと考えるが、北陸新幹線敦賀以西の整備に求めるリダンダンシー機能の位置付けについて、政府の見解を示されたい。
五 北陸新幹線の基本計画について
 全国新幹線鉄道整備法(昭和四十五年法律第七十一号。以下、「全幹法」という。)第四条第一項に基づく基本計画(以下、「基本計画」という。)において定められている北陸新幹線の主要な経過地を示されたい。
六 北陸新幹線の整備計画について
 基本計画は、政令により、建設線の路線名、起点、終点及び主要な経過地を定めることとされ、全幹法第七条第一項に基づく整備計画(以下、「整備計画」という。)には政令により、走行方式、最高設計速度、建設に要する費用の概算額、その他必要な事項を定めることとされている。
 北陸新幹線の整備計画にある「その他必要な事項」のうちの主要な経過地に記載され、基本計画には記載されていない主要な経過地がある場合、当該経過地の全幹法上の位置付けについて、政府の見解を示されたい。
七 新幹線鉄道の路線について
 全幹法第一条において、「この法律は、高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ普遍的開発に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り、もつて国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興に資することを目的とする。」とし、同法第三条において、「新幹線鉄道の路線は、全国的な幹線鉄道網を形成するに足るものであるとともに、全国の中核都市を有機的かつ効率的に連結するものであつて、第一条の目的を達成しうるものとする。」とされているが、第三条における「中核都市」の定義について、政府の見解を示されたい。
八 北陸新幹線敦賀以西ルートに係る国土交通省調査について
 前回の質問で、国土交通省が北陸新幹線敦賀以西ルートについて改めて調査する目的を問うたところ、「北陸新幹線敦賀・大阪間について、所要時分、路線延長、概算事業費、需要見込み等の具体的なルートの選定の検討を行うために必要となる項目について、分析し、及び整理することを目的としている。」とする答弁をなされている。この類の調査は、全幹法によると第四条第一項の規定により基本計画を決定しようとする場合に必要な政令に基づく調査と、第七条の整備計画を決定する際に必要な第五条第一項に基づく調査があるが、国土交通省が実施している調査は全幹法の何れの条項に基づく調査なのか、政府の見解を示されたい。
九 根元受益の取扱いについて
 前々回の質問で、北海道新幹線(新青森~新函館)、北陸新幹線(上越~金沢)の根元受益とは、具体的にどの整備新幹線区間に係る根元受益を指すのか問うたところ、「北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)に係るものは東北新幹線(八戸・新青森間)等の営業主体であるJR東日本に、北陸新幹線(上越妙高・金沢間)に係るものは北陸新幹線(長野・上越妙高間)等の営業主体であるJR東日本に、それぞれ生じる受益を指しているものである。」とする答弁をなされている。また、「北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)の営業を開始することにより、東北新幹線(八戸・新青森間)等の営業主体であるJR東日本に生じる受益」を根元受益とし、「当該受益の程度を勘案し、JR東日本と協議した結果、毎事業年度においてJR東日本から支払を受ける額は二十二億円とされたところである。」とある。
 新たに建設する整備新幹線の早期着工のための財源確保の観点、また、国民の税負担において賄われた整備新幹線によって得られた利益の帰属が公益と私益のバランスを失しないためにも、根元受益の算定に当たっては、受益の及ぶ全ての区間を勘案すべきと考えるが、このJR東日本から毎事業年度に支払を受ける二十二億円とは、どの路線のどの区間の受益の程度として勘案したのか具体的に示されたい。

 右質問する。
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a191013.htm


平成二十八年八月八日受領
答弁第一三号

  内閣衆質一九一第一三号
  平成二十八年八月八日

内閣総理大臣 安倍晋三
       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員田島一成君提出北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


衆議院議員田島一成君提出北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 平成二十八年四月二十七日に公表された与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会の中間とりまとめ(以下「中間とりまとめ」という。)を踏まえ、国土交通省において、北陸新幹線敦賀・大阪間について、所要時分、路線延長、概算事業費、需要見込み等の具体的なルートの選定の検討を行うために必要となる項目について、分析し、及び整理しているところであり、完成時期及び建設期間については、今後適切に検討してまいりたい。
三について

 お尋ねの「公共事業の効率性」とは、費用便益分析とともに、貨幣換算することが困難な効果等も含めて総合的に評価することにより示されるものである。
四について

 北陸新幹線敦賀・大阪間の整備により、北陸新幹線が有する太平洋側の基幹交通に対する代替補完ルートとしての機能が、より確実に発揮されることが期待される。
五について

 全国新幹線鉄道整備法(昭和四十五年法律第七十一号。以下「全幹法」という。)第四条第一項に基づき運輸大臣が決定した基本計画(以下単に「基本計画」という。)によれば、北陸新幹線の主要な経過地として、長野市附近及び富山市附近が定められているところである。
六について

 全幹法第七条第一項に規定する整備計画(以下単に「整備計画」という。)において定められる主要な経過地は、基本計画において定められた路線の建設に関し、全幹法第九条第一項の工事実施計画を作成する基礎となる具体的な項目として定められている。
七について

 全幹法第三条における「中核都市」とは、全国的な視野に立ってみた場合に、各地域の開発発展の中核となるべき都市をいう。
八について

 お尋ねの調査は、中間とりまとめに基づき、北陸新幹線敦賀・大阪間について具体的なルートの選定の検討を行うために必要となる項目について分析し、及び整理することを目的とした調査であることから、基本計画の決定を目的とする全幹法第四条第一項及び全国新幹線鉄道整備法施行令(昭和四十五年政令第二百七十二号)第二条の規定に基づく調査又は整備計画の決定を目的とする全幹法第五条第一項に基づく調査のいずれにも当たらない。
九について

 御指摘の「JR東日本から毎事業年度に支払を受ける二十二億円」については、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が東日本旅客鉄道株式会社に貸付けを行っている整備新幹線の区間の受益の程度を勘案し、同社との協議の上で合意したものである。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b191013.htm

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