整備新幹線建設推進プロジェクトチームに関して国会で質問している、前原誠司氏の質問と答弁

令和三年五月二十五日提出
質問第一四四号

北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設計画に関する質問主意書

提出者  前原誠司


北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設計画に関する質問主意書

 北陸新幹線敦賀-新大阪間については、二〇一六年十一月に国土交通省が、敦賀-米原(以下米原ルート)、敦賀-小浜-京都(以下小浜・京都ルート)、敦賀-小浜-舞鶴の三ルートを比較案として与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(以下与党PT)に提出し、翌十二月に与党PTが小浜・京都ルートの採用を正式決定した。この後、京都-新大阪間のルートの検討も行われ、最終的に二〇一七年三月に、与党PTは敦賀-東小浜-京都-松井山手-新大阪ルートを最終案として発表した。しかし、ルート決定に至った明確な理由が公表されていないものと承知している。
 また、二〇一九年五月には、建設主体である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が環境影響評価配慮書を公開し、現在、建設に向けた環境影響評価が開始されている。
 これらを踏まえ、以下質問する。

一 何故建設費用が最小であり費用便益比が最も高かった米原ルートが採用されず、小浜・京都ルートが採用されたのか、市民から疑問の声が多く寄せられている。そこで整備新幹線の着工五条件(安定的な財源見通しの確保、収支採算性、投資効果、営業主体であるJRの同意、並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意)に照らし合わせ、政府として、今回の小浜・京都ルート及び松井山手を経由するルートが採択された理由を示されたい。
 特に「安定的な財源の見通し」については着工予定時期と大きく関係すると考えられるので、現時点の財源見通しと見込み着工予定年についても併せて回答されたい。
二 今回の建設ルートは、京都府南丹市及び京都市右京区内で京都丹波高原国定公園の中心部にあたる由良川・桂川の上中流地域を縦断する計画となっている。政府は「原始的な自然をはじめ、京都の歴史・文化を支えた豊かな自然環境が残る地域」として、二〇一六年三月にこの地域を国定公園に指定した。それから一年に満たない二〇一六年十二月に、同地域内における十五年にわたる新幹線の大規模建設工事を与党PTが決定したことになり、ルート決定に当たり、環境への影響について十分に考慮がなされたのか疑問が残る。本来の環境影響評価の精神に則れば、経済と環境への影響双方を詳細に検討した上でルート選定をする必要があったと考えるが、政府の見解を伺う。
三 国土交通省の資料によれば、北陸新幹線が大阪まで延伸することで「東京・大阪間において、東海・東南海・南海地震等に対する新幹線鉄道ネットワークの多重化に資する。」とされている。一方、いわゆる大深度地下使用法に基づく建設では、新大阪駅の地下四十メートル以深にトンネル・駅が設置されることになるが、大阪市の発表している南海トラフ巨大地震の震度想定において、新大阪駅付近は震度六の揺れが想定されている上、液状化の発生しやすい地点が多数存在する。地震でトンネルに破損が生じると、大量の地下水の浸水の可能性も想定されるところであるが、このような可能性に対する乗客・乗員の安全確保について、政府の見解を伺う。

 右質問する。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a204144.htm


令和三年六月四日受領
答弁第一四四号

  内閣衆質二〇四第一四四号
  令和三年六月四日

内閣総理大臣 菅 義偉
       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員前原誠司君提出北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設計画に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


衆議院議員前原誠司君提出北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設計画に関する質問に対する答弁書

一の前段及び二について

 御指摘の「小浜・京都ルート及び松井山手を経由するルート」については、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会において決定されたものであることから、お尋ねについて、政府としてお答えする立場にない。なお、同委員会の中間報告において、「北陸と関西の間の移動の速達性、利用者の利便性等を総合的に勘案し、敦賀駅-小浜市(東小浜)附近-京都駅-新大阪駅を結ぶルート(小浜京都ルート)が適切である」とされ、同委員会の最終報告において、「北陸新幹線京都-新大阪間については、南回りルート(京田辺市・松井山手駅附近経由)が、既存の鉄道ネットワークとの接続、地域開発の潜在力等の観点で有望であることから、北陸新幹線敦賀-大阪間のルートは、敦賀駅-小浜市(東小浜)附近-京都駅-京田辺市(松井山手)附近-新大阪駅を結ぶルートとすることが適切である」とされたものと承知している。

一の後段について

 お尋ねの「現時点の財源見通しと見込み着工予定年」については、現在、北陸新幹線敦賀・新大阪間の建設主体である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。)が環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)に基づく環境影響評価を実施中であること等から、現時点でお答えすることは困難である。

三について

 北陸新幹線敦賀・新大阪間の整備については、現在、機構が環境影響評価法に基づく環境影響評価を実施中であり、トンネル及び駅の具体的な位置及び深さについては決定されていないこと等から、お尋ねについてお答えすることは困難である。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b204144.htm


令和三年六月九日提出
質問第一八〇号

北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設計画に関する再質問主意書

提出者  前原誠司


北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設計画に関する再質問主意書

一 「衆議院議員前原誠司君提出北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設計画に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二〇四第一四四号)に関して確認する。北陸新幹線の敦賀-新大阪間のルート決定は与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会(以下「整備検討委員会」という。)において決定されたものであり、政府としては答える立場にないとの回答であった。このことは整備検討委員会が政府から北陸新幹線のルート決定を行う裁量を委託されているという理解でよいか。
 また、ルート決定の裁量権が整備検討委員会にあるならば、ルート選定の説明責任を負うのは整備検討委員会という理解でよいか。
二 平成二十八年五月二十七日提出質問第三〇二号の田島一成君提出「北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する再質問主意書」に対する答弁書の「一について」で、政府は当時以下のように答弁している。
 「(米原町附近を経由するルートと、小浜市附近を経由するルートについて)諸項目を総合的に検討した結果、北陸新幹線福井市附近・大阪市間のルートについては、流動の多い北陸と近畿圏とを短絡し、工事費が少なく、かつ、用地確保が容易なBルート(注:小浜市附近を経由するルート)を選定した。」
 この答弁は、当時の政府が、既にあった調査結果等を総合的に検討し、「主体的」にルートを選定したと読み取れる。
 他方、一で述べたように、政府は、ルートについては整備検討委員会において決定されたものであり、政府として回答する立場ではない旨答弁しているが、上記田島一成君提出の質問主意書に対する答弁と整合的でないと考える。
 上記田島一成君の質問主意書が提出された当時と現在とで整備検討委員会の位置づけが変更されたのかどうか、また、右二つの答弁が整合的でないと思われる点について、政府の見解を伺う。
三 整備新幹線のルート決定にあたり、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの役割とその役割の法的根拠及び国土交通省との関係、また、整備検討委員会のルート決定にあたっての整備新幹線問題検討会議、整備新幹線問題調整会議、国土交通省鉄道局が果たす役割と責任について説明頂きたい。

 右質問する。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a204180.htm


令和三年六月十八日受領
答弁第一八〇号

  内閣衆質二〇四第一八〇号
  令和三年六月十八日

内閣総理大臣 菅 義偉
       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員前原誠司君提出北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設計画に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。


衆議院議員前原誠司君提出北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設計画に関する再質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「整備検討委員会が政府から北陸新幹線のルート決定を行う裁量を委託されている」、「ルート決定の裁量権が整備検討委員会にある」及び「ルート選定の説明責任を負う」の意味するところが必ずしも明らかではないが、先の質問主意書(令和三年五月二十五日提出質問第一四四号。以下「前回質問主意書」という。)一でお尋ねの「小浜・京都ルート及び松井山手を経由するルートが採択された理由」について、先の答弁書(令和三年六月四日内閣衆質二〇四第一四四号)一の前段及び二についてでお答えしたとおり、「小浜・京都ルート及び松井山手を経由するルート」については、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会(以下「与党整備検討委員会」という。)において決定されたものであることから、政府としてお答えする立場にない。いずれにしても、今後、全国新幹線鉄道整備法(昭和四十五年法律第七十一号)における手続としては、北陸新幹線敦賀・新大阪間の建設主体である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から、工事実施計画の申請があった場合には、同法第九条第一項の規定に基づき、具体的な線路の位置、駅の位置等を含め当該工事実施計画の内容を審査した上で、適当と認められる場合には、国土交通大臣が認可することとなると考えている。

二について

 御指摘の質問主意書(平成二十八年五月二十七日提出質問第三〇二号)一におけるお尋ねは、全国新幹線鉄道整備法第七条第一項の規定に基づき昭和四十八年十一月十三日に運輸大臣(当時)が決定した整備計画についてのものであり、御指摘の答弁書(平成二十八年六月七日内閣衆質一九〇第三〇二号)一についてにおいては、当該整備計画に記載されている北陸新幹線福井市附近・大阪市間のルートについてお答えしたものである。一方、前回質問主意書一でお尋ねの「小浜・京都ルート及び松井山手を経由するルート」については、平成二十九年三月に与党整備検討委員会において決定されたものであり、「答弁が整合的でない」との御指摘は当たらない。また、お尋ねの「整備検討委員会の位置づけが変更されたのか」という点については、政府としてお答えする立場にない。

三について

 御指摘の「整備新幹線のルート決定」及び「整備検討委員会のルート決定」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、前回質問主意書一でお尋ねの「小浜・京都ルート及び松井山手を経由するルート」については、与党整備検討委員会において決定されたものであり、与党整備検討委員会における「小浜・京都ルート及び松井山手を経由するルート」の決定に係る検討に際しては、国土交通省鉄道局は、与党整備検討委員会の求めに応じ、必要な資料等の提供及び説明をする立場であった。また、お尋ねの「与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの役割」については、政府としてお答えする立場にないが、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームについてはその役割等が法令に位置付けられているものではない。さらに、御指摘の整備新幹線問題検討会議及び整備新幹線問題調整会議については、整備新幹線の整備に関する基本方針及び当面の整備新幹線の整備方針を検討するなどのため、平成二十一年十二月に、国土交通省政務三役会議において設置が決定されたものであるが、平成二十四年を最後に開催されていない。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b204180.htm

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