【陳情趣旨】

沖縄県では、米軍の普天間飛行場(宜野湾市)移設に伴う名護市辺野古沿岸部の埋め立て工事が実施されており、埋め立てのため沖縄本島南部の土砂を使用する計画があることが、明らかになりました。

沖縄は第2次世界大戦時に住民を大規模に巻き込んだ唯一の地上戦が行われた場所であり、合計約20万人以上の犠牲者を出しました。辺野古新基地建設の為の土砂採取場所として検討されている本島南部の土砂には、沖縄住民・本土から召集された日本兵・米兵・朝鮮出身の方々など、沖縄戦に巻き込まれた様々な方々の遺骨が混じっていると考えられています。

本島南部には今も未調査のガマ(洞窟)が残され、40年近く沖縄戦没者の遺骨収集を続けているボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんによると、糸満市「魂魄の塔」付近で遺骨が発見され、DNA鑑定による特定が急がれています。

2016年に国会において、戦没者遺骨収集推進法が超党派の議員立法により全会一致で成立し、同法第1条には、「戦没者の遺族をはじめ今次の大戦を体験した国民の高齢化が進展している現状において、いまだ多くの戦没者の遺骨の収集が行われていないことに鑑み、戦没者の遺骨収集の推進に関し国の責務を明らかにする」との目的を記しており、2024年までを「集中実施期間」と指定しています。

それにもかかわらず日本政府は、国の責務で遺骨収集にあたるという同法の精神に反し、遺骨の混じった土砂を使って新基地建設を強行しようとしています。これは、国会で示された戦没者とその遺族の尊厳の尊重を求める民意への裏切りであり、国家的な人権侵害、民主主義からの逸脱行為です。

戦争で亡くなった人々の骨が残されている場所を掘り起こし、戦争につながる軍事基地の建材にするという、死者を冒涜する行為は、辺野古基地建設への賛否に関わらず、人道的・倫理的な観点から即刻中止すべきであると確信します。

「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんが、本島南部土砂採取計画に抗議するため3月1日からの6日間、沖縄県庁前でハンガーストライキをされました。また、3/27には戦没者の遺骨が含まれる南部の土砂を辺野古の埋め立てに使用しないよう求める3万2800人分の署名が、沖縄県に提出されています。これらの報道は、いずれも沖縄ローカルメディアが中心で、全国的なメディアの取り上げは少ないと感じています。

沖縄と日本「本土」との温度差は広がる一方です。

この温度差こそ、沖縄戦以来ずっと日本が沖縄に犠牲と負担を押しつけ続けているという構造的差別の根本原因になっているのではないでしょうか。

沖縄戦では、日本全国から召集された日本兵が「沖縄守備軍」として沖縄に駐屯しました。「本土」防衛のために沖縄を捨て石にする持久戦の中で、日本軍は沖縄住民に犠牲を強いつつ、約6万6千人の日本兵も命を奪われました。2020年6月22日現在、3,519名の東京出身者が沖縄戦犠牲者として平和の礎に刻銘されています。

東京都民も、今回の土砂埋め立ての問題を「沖縄の問題」と他人事にするのではなく、当事者意識を持って考え、取り組む必要があるのではないでしょうか。

以上の趣旨から、辺野古基地建設の賛否に関わらず、人道的・倫理的観点から、以下の事項を陳情します。

【陳情項目】

  • 辺野古基地建設のために沖縄戦犠牲者遺骨の残る沖縄本島南部からの土砂採取を中止するよう

国および国会へ求める意見書の採択を求めます

2021年3月31日

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